talking Quiet

27歳。音・酒好き、猫好き。London在住。UKの音楽を中心にゆるく書きます。

マイブラが2018年に新アルバムをリリース

マイブラ。

my bloody valentain.

 

2017年11月1日。

マイブラッディヴァレンタインのフロントマン・ケヴィンシールズが、’’2018年にニューアルバムをリリースする’’と、アメリカのインディー音楽サイト・ピッチフォークのインタビューでコメントした。

このアルバムには2013年リリースの前アルバムMVBからも数曲リイシュされる予定、詳細は不明だがアナルグテクニックを使ってレコードするともコメントされた。

 

2013年にリリースされた前アルバムMVBから5年。

この5年はマイブラファンにとっては長くはない期間のはずだ。

なぜなら前作MVBが発売されたのは、前前作のLoveless以来22年ぶりだったからだ。

 

バンドは80年代後半から90年代前半に絶頂期を迎え、シューゲイズなる新ジャンルを確立し、(バンドが故意に確立した訳ではない)シューゲイズのパイオニアとなり、91年リリースのlovelessは90年代のベストアルバムの1つと言われるまでに一時代を築いた。

 

シューゲイズは、シューズ(靴)をゲイズィング(ガン見)しながら演奏する彼らのスタイルから生まれた言葉だ。

どんな音?とは、彼らの曲を聴けば言葉で説明するより早いし全く正解のない質問だが、あえて言えば歪んだ実験的なギターサウンドと軽めの浮遊感のあるメロディーラインが特徴、だろうか。

 

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個人的な話をすると、マイブラにはまったのは高校生の時だった。

最初は好きじゃなかった。

だが何回も繰り返し聞くうちに、病み付きになった。

依存性の高い音楽、音楽が持つ依存性というのを肌で感じさせられた初めてのバンドだった。

暗いと思っていた音が、何度も聞くうちに明るい音になった。

当時はパソコンもスマートフォンもない時代、高校の授業でワープロ検定を受ける様な時代だった為、彼らがどこのだれかもわからずに友人が焼いてくれたCDをひたすら聞いていた。

数年後初めてインターネットで調べたとき、彼らは私が生まれた頃に活躍していたアイルランドのバンドと知った。そして97年には活動を中止していた。

このバンドを生で聞ける機会は一生ないのかと落胆した覚えがある。

 

しかし2007年、バンドは再結成しヨーロッパ、北アメリカ、アジアツアーを発表し、2008年にはフジロックのヘッドライナーも努めた。

(この年のヘッドライナーはマイブラ、アンダーワールド、プライマルスクリームとUKファンには当たりのラインナップであった。)

 

そして2013年私は大阪で初めてマイブラのライブにいくことができた。

会場にはオレンジ色の耳栓が配られていた。

もちろん私は耳栓を鞄にしまい、最前から少し離れた場所からゆっくり堪能することにした。

予想通りMCもなく始まる演奏。

数千回聞いたどろう歪んだ音で構成された楽曲達に、私は一曲一曲涙しながら耳を傾けた。

そして待望のyou made me realizeが始まった。

マイブラを有名にした曲でもあるが、間違いなく90年代UKの名曲。

攻撃的なギターサウンドにのせたウィスパーヴォイスは、ダウナーとハイが交互に押し寄せる様な感覚を味わえるジャンク色の強い一曲。

曲中盤のノイズ演奏は20分以上に及び、音のシャワーを浴びているようであった。

 

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85年にロンドンに拠点を移していた彼らだが、88年マイブラはカンタベリーでライブを行っていた。

それを見ていた同じくアイルランド出身のバンド.・ハスカードゥのMcGreeが彼らにアプローチをかけ、ノースイーストロンドンの地下鉄ヴィクトリア線の最果てウォーサムストーにて1週間という短期間で5曲入りのミニアルバムそして初アルバムとなるyou made me realizeをレコーディングした。

このアルバムはUKのインディーチャートで2位となり小さな成功を納めた為、3ヶ月後の88年11月にはフルアルバムをリリースするに至った。

 

(ちなみにハスカードゥは演奏ももちろん、リリックの良さが目立つバンドで、色々なバンドにカバーされている。フーファイターズともコラボ。)

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初アルバムから29年目にして、彼らの4作目となるアルバム。

彼らの進化、老化。

全てを受け入れる準備はできている。待ち遠しい限りである。