ジェフ・バーロウ(portishead)のバンドBEAK>
ブリストルに興味を持ったきっかけは、自身PortisheadとMassive attackの大ファンだからだ。
好きなアーティストは沢山いるが、人に問われたらこの2つの名前をあげたりする。
古いの知ってるね、渋いねとか、あれ?何歳なの?と返されることが多いが、この2つは私の中で別格なのだ。
そして、この2つを別格扱いしている ’仲間’ にたまに出会ったりもする。
ブリストルサウンドという言葉を知り、どっぷりはまり、トリップホップのアーティストを掘っては聴き込んでいた時期があった。
死語とも言われるトリップホップ。
なぜならportisheadを始め、トリップホップというジャンルに括られることに嫌悪感を示しているアーティストが多い。
ヒップホップの影響を強く受けて育ったportisheadのサウンドを作っているジェフ・バーロウは、トリップホップはヒップホップを理解していない奴らが作った音楽にすぎないと表現している。
だが2015年夏イギリスで行われたフェスティバルに、portisheadがヘッドライナーとして発表された際 ‘Legend of triphop’(トリップホップの伝説)と紹介されていたのが印象的だったように、彼らの発言とは裏腹に、ファンの間でトリップホップという響きは愛され、使われ続けている。
’ブリストルサウンド’ とは言わないが、少しでもブリストルの音楽文化に触れたいと、 初めて訪れたブリストルでの音楽フェスティバル。
今回楽しみにしていたのが、Portisheadのサウンドメーカーのジェフ・バーロウのバンド。
レッド・ツェッペリンのヴァーカルとして有名なロバート・プラントのベーシストのビリー・フラーと、ノイズ・エクスペリメンタルのアーティストとしても活動するMXLXことマット・ラバリッジと結成したバンドBEAK。
2009年に結成し、2010年に初ツアーを行って以来、定期的にギグを行っている。
面白いのが、2009年リリースのデビューアルバムに収録されている曲は、ブリストルでの12日間のセッションで一気に作られ、オーバーダビング(多重録音)やリピートは一切なしとのこと。
TwitterやHPでブリストル出身なことを強くアピールしているから、多分全員ブリストル出身なのだろう。
フェスでは、メイン会場のコルストンホール内で2番目の規模のランターンというステージで行われた。
時間になってもなかなかでてこず、オーディエンスに煽られて、ようやくビール片手に3人がでてきた。
彼らのパフォーマンスは軽いセッションでも始めるかのようなリラックスした状態で始まった。
ノスタルジックでノイジー、疾走感のあるサウンドは期待通りだった。
BEAK Boiler Room LIVE Show - YouTube
そして3人の挙動が思ったよりクレイジーで面白かった。
1曲目が終わると同時に、ドラムのジェフがトイレにいかせてくれと走ってステージをでていき、それをつなぐ為に一番まともそうなベースのビリーが話しているとき、オーディエンスがなにかを叫ぶとその言葉に反応し、キーボードのマットが怒り、オーディエンスに中指をたてたり、首をきる様な仕草をしながら『FUCK YOU』とずっと叫んでいた。『全員じゃない!お前ら三人だ!』と叫んだり、次の曲が始まってからも、演奏しながら中指をたてたり、ビールを何本も一気したりと、精神不安定そうで見てて面白かった。
ちなみに、2010年にBEAKがプロデュースしたANIKAというアーティストも唄がヘタウマで個性的なのでBEAKとともにぜひきいてみてほしい。
30年ぶりのギグ、ポストパンクバンドMaximam Joy.
フェスティバルの楽しみの一つは、‘新しい音楽に出会う’ことだ。
先日ブリストルで行われたSimple things festivalで、良い出会いがあったので紹介したい。
メインステージはコンサートホールのような作りで、スタンディングの他座席もあり、18時間行われているだけあって、寝ている人や座っている人も多く大変助かった。
アメリカのノイズバンドHealthを見る為に、早めにメインステージの座席に座っていたら、ちょうど彼らの音楽が始まった。
Maximam Joy
手元のプログラムには、『最後のパフォーマンスから約30年、地元ブリストル出身のポストパンクバンド』と紹介されていた。
ブリストル出身のアーティストのパフォーマンスを地元でみるのも嬉しい経験だ。
座って聴いているつもりが、釣られるようにスピーカーの前で踊っていた。
ヴァーカル兼キーボード、ギター、ベース、ドラム、サックス。
シンプルな構成。
ファンクでグルービーな安定したベースライン。女性ヴォーカルの囁くようなアンニュイな声がノスタルジックに響く。
シンプルな様で実験的な要素が強く、ジャジーであり時に民族的でもある。
全体的に陰があるサウンドはUK音楽好きにはたまらないのではないか。
Maximum Joy - Silent Street/Silent Dub (99 Records ...
私は友人にthe slitsを教えてもらって以来、どこか民族的な匂いのするポストパンクバンドが好物だ。
ちなみに勘違いされやすいが、ポストパンクとはパンクとは全く別物で、ダンスミュージックであり日曜の昼に聴きたいような心地よいチルアウトミュージックでもある、と思っている。
30年前ということは、1970年代〜80年代に活動してたのだろう。
ポストパンクが色々なジャンルから分岐して生まれたのが70年代といわれているので、まさにポストパンク全盛 で音楽活動をしていた時代を知るバンドなのだろう。
30年ぶりのギグということで、不安定な場面もあったが、それが生音の良いところで、そんなところまで楽しめた。
ブリストルでのMaximam Joyとの出会いは、思い出の出会いとなった。
Bristolで開催Simple things festival
ブリストルで行われたSimple Things Festival 2015に行ってきました。
意外にも年間を通してブリストルで行われる音楽フェスティバルはこれのみだそうで(グラストンベリーはブリストルから車で約30分)、地元出身のアーティストが多くラインナップされたこのフェスは、地元っ子はもちろん、ブリストルのミュージックカルチャー好きには見逃せない存在。
O2アカデミーやコルストンホールなどの広い会場から、元消防署というローカルな雰囲気漂うクラブまで、ステージは8つ、昼12時から朝6時まで、18時間ノンストップで音楽が楽しめる。
どの会場も歩いて10分以内にある。
ラインナップされたアーティストのジャンルは様々。
レゲエの重鎮リー・ペリー、
アルバムをだしたばかりのガールズバンドSavages、
ポーティスヘッドのジェフ・バーロウが2011年に結成したバンドBEAK、
日本人唯一Daisuke tanabe、
ブリストル出身のテクノサウンドメーカーOjekt、Hodge、vessel。
その他いろいろ。
(パフォーマンスの詳細は後々じっくり書きます。)
チケット£39(約7000円)に対して文句なしのラインナップ。
タイムテーブルが公式HPやfacebookページにのっていなくて、当日会場につくまで分からないというのが少し厄介だった。(facebook上でも批判が殺到していた。)
今年5年目のまだまだ若いSimple things festival.
’フェスティバル’という区切りの中で遊んでいるという感覚はなく、大きすぎないブリストルという街を体感しながら、ストリートカルチャーに近い場所で遊べる、素晴らしいフェスティバルでした。
ロンドンやイタリアからブリストルに移住した人と話す機会があり、皆揃って口にした言葉が『ブリストルのサイズ感が好き。』
ロンドンからブリストルまではバスで約2時間半。一時間に一本くらいの頻度で運行しています。
早めにチケットを購入すれば片道£5(約900円)ほどで行けます。
ゆるーい雰囲気に、良質な音楽。来年も行きたい。
音にフォーカスしない音楽
大きくもない小さくもない街、バーにいけば知り合いが、クラブにいけば知り合いが、という狭いコミュニティーに慣れ親しんだ私にとってロンドンは大都会だ。
自然があるかないかの問題ではない。人口の問題でもないと思う。
少し人種の問題はあるかな。
毎週、毎日、様々なことが起き、どこかで新しい感覚や感性が生まれている。
その反面、この一瞬で沢山のネガティブなことが起きているかも知れない。
そして、そのネガティブからまた、新たなものが生まれてくるのだろう。
複雑に、可能性を匂わす。
時の流れが早い。先週の楽しい出来事も、悲しい思いさえも、新しい刺激でとうの昔のことのよう。
悲しくも、仕方ない。
今回の渡英も早いもので、もう8ヶ月経った。
私は何も変わっていない。
語学もたいして進歩してなければ、思考回路、顔つき、夢も未だ模索している。
一つ変わったといえることは、音楽の幅かも知れない。
英国は不思議な程、生活と音楽が密接している。お金がなくても、音楽が聞こえてくる。
友人との会話も‘音楽’が必ず加わり、お互いの趣味を交換しておけば、新たな情報がもらえたりする。
物価が高く、天気の悪いこの国で、救いは音楽だったのかも知れない。
複雑な時代、音楽が感情のツールとして発達・派生し、人々は発達していく音楽を聴きに足を運ぶ 、ということが、インターネットのなかった時代のアンダーグラウンドカルチャーとして確立し、今に至るのではないか 。
時代はまだ複雑なまま。
政治も、思考も、思想も複雑さを増している。
英国の音楽は、未だ勢力的、実験的に発達・派生を続けている。
私は、長い英国音楽の歴史の真ん中にいるのかも知れない。
イギリス、ドクターマーチンのファクトリー
2015年10月17日
ドクターマーチンの工場に行ってきた。
ロンドンから北へ、車で約2時間。
イギリス紳士靴の工場が集まる Northamptonから車で約30分の場所にある田舎町Wollaston。
紅葉が色付き始めて、輝くイギリスの田舎 。
目当ては工場に隣接されたマーチンのアウトレットショップ。
Wollason factory store DOC SHOP.
住所
Doc Shop
71 High Street
Wollaston, Northants
NN29 7QE
毎日10時から5時まで営業。
英国で作られているヴィンテージライン、定番のブーツ、サンダル、靴下、服、バッグ、シューレース、シューケアなど色々なプロダクトが置いてある。
客層は子供からおじいちゃんまで、ローカルが殆ど。
店員さんはパンクっぽい姉さんから普通のおばさんまで、皆すごく親切。
パンクな姉さんがシューレースの結び方を2種類教えてくれた。
店内は基本均一価格。
ブーツはall £30。
靴はall £25。
サンダルはall £20。
英国産は£50からのよう。
夢のよう。
サイズ別に並んでいる。ノートレーダー(業者お断り)の張り紙。
レディースは、サイズUK5(24.0cm〜24.5cm) が品薄、だがそれでも約20種類から選べる。
私は8ホールのブーツ‘PASCAL’ とラムウールのセーターを購入。
PASCALはマーチンのファーストモデル。
柔らかいナッパ革で作られていて、ハードコアな印象になりすぎないし、靴擦れしづらくて 良い。
スタンダードモデルなので、現在もUKの店舗で £100(約18000円)で販売されているが、このショップでは £30(約5400円)で購入できるのでかなり安い。
ちなみに日本の正規店だと22680円。
花が咲く頃、田舎の自然と‘サンダル’を楽しみに、もう一度行きたい。
パーティに行くの辞めた日の考え。
音楽が溢れている。
ネットサーフィンをしながらダークテクノを流し聴いている。
コンピューターを1つの楽器として扱い生まれた音楽が、コンピューター上に蔓延している様子。
心でなく脳に響いてくる。
目を閉じれば、自分だけの風景やストーリーが見えてくる感覚。
テクノとは一聴、都会的な印象がある。
しかし、車で夜の森を走っているとき、キャンドルを灯した部屋、静かな場所でほど耳に触れたい音楽でもある。
テクノとは、皆で聴く音楽なのか。
皆で踊る音楽なのか。
皆で感動する音楽なのか。
増えていくテクノ人口。
皆で空間を共有すべき音楽なのか。
そんな時があってもいい音楽なのか。
テクノとはなんなのか。
静寂や破滅、安心感と孤独。
急速に変化していく時代の中で、急速に変化をしていく掴めないジャンル。
木や水や火と同じ様に、自然物質として電子音は存在すると言い切ったテクノメーカーの友人。
生まれた時から電子音がある時代に生まれたのに、そんな考えは浅はかだと、遠い場所からテクノを聴いている。
UKスクワットパーティ
2015年9月最後の土曜日。
ダークサイケのスクワット(不法占拠)パーティーに行ってきた。
スクワットパーティって何?
と聞かれることが多いがうまく説明できない。
許可のおりてない場所に、勝手にサウンドシステムを持ち込みパーティする。
警察がきたら終了とはいつも言われる。
場所がその日の夜まで分からない。
私はPsydelic wayというクルーのスクワットに行くことが多いが、彼らのFACEBOOKページに載ってるアドレスにメールすれば、携帯の番号が送られてきて、そこに電話をかければポストコードがアナウンスされるシステム。
(UKのポストコードはピンポイントで場所を断定できる。)
フリーなことが多いが、ここ最近は£5くらいチャージするパーティも多いと友達が嘆いていた。
大概セントラルからは離れた郊外で行われる。
この日もTUBEで最終駅まで行き、そこから徒歩1時間。
農場、草原の中にある林の中。
まだ、サイケのパーティに行ってるの?
ってからかわれることがある。
気にしない。
UKのサイケトランスシーンは面白いと思う。
そしてスクワットパーティは面白い。
コミュニティがあり、皆友達みたいになる。
日本でいう小規模なレイブにきた感覚。
デコレーション。
この日のメインは、赤ちゃんの人形が無数に木に括り付けられていてカオス。
サウンド。
どうやって運んだんだっていう大きさのスピーカー多数。
爆音。とにかく爆音。
音にまみれて踊るしかない。
オーディエンス。
フレンドリー。踊ってれば誰かが話しかけてくる。
ビールやジョイント、水が勝手に回ってきたり、回したり。聞けば違う物が回ってきたり。
助け合い、シェアの精神が他のパーティに比べずば抜けている。
その名の通り、完全に脳内トランス状態で踊っている人が多く、幸せな空間。
なにより深い自然の中で新鮮な空気で踊れるっていうのは贅沢。自然はなにより美しいアートだ。
今回はキャンプファイヤーがあって夜暖かかった。
中には缶ビール、水、ガス風船(各£2)も売っている。
トイレはないから、ティッシュはマストハブで。